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執筆者の写真麻美 木村

書くこととカタルシス


このコンテスト、私の好きな西原理恵子さんも昔審査員だったようです。 映画のモデルになったり、高須クリニックのコマーシャルに出たりと、喜怒哀楽を絵に描いたような人生を送っている彼女ですが、その分絵本を読んでみても、その深みが半端ではない。 独特の世界観があります。 ココの芽の生徒も時々応募したりしますが、まだ賞をもらった子はいません。 貰えれば嬉しいけれど、書く過程に大きな意味があると思っています。 数年前でしょうか? 1人の男子生徒が、1年前白血病で亡くなった友達へ手紙を書きたいと言ってきました。 タイトルは  「天国の◯◯◯へ」 そして2時間一度も顔を上げる事なく、便箋3枚にびっしりと思いを綴ったのです。 サッカーの上手い彼に早く追いつきたかったこと。 合宿で夜遅くまで語りあったこと。 病気と知り、すごくすごく不安だったけど、退院したと聞いてとっても安心したこと。 そして、ある日突然◯◯◯が亡くなったことを聞かされた日の事。 頭が真っ白になって、到底信じられなかった。 まだ、一緒にしたい事が沢山あったのに。 最後は、サッカー頑張るから天国で見ててほしいと書いていました。 この子は、書く事で自分の気持ちを見つめそれを整理することで、心の浄化を図ったのでしょう。 書き終わったあとの、何ともいえない表情が忘れられません。 1年の間ずっと感じていたこと、言いたかったこと、全てを出し尽くした顔に見えました。 「書く」という作業は、西原さんのような作家さん達のみの特権ではないようです。 もっと身近にあって、人生の様々なシーンで心を落ちつかせ、浄化してくれる人の大切な営みのような気がします。 この手紙を◯◯◯君のお母さまにお渡ししようか随分悩みました。 でも子ども達の心の中に彼が生きている事をどうしても知って欲しくて、本人の了承を得てから、お見せしました。 思いは言葉に変わり、書き付ける事でその輪郭を増します。



公開日:2019年06月07日(金)


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